大人になった今でもお化けが出たらさすがに怖いと思う。
ただ、私は未だにお化けに会った事はない。
幽霊と呼ばれるものにも会った事はない。
金縛りになった事はあるけど体に何かしらの異常が出たわけでもない。
おじさんと呼ばれるくらいに生きてきたけど、
正直今のところお化けの存在も幽霊の存在も自分で確かめた事はないし、
テレビで見るような経験もない。
ただ、暗闇の中にいると「それ」を想像したりする。
会った事がないお化けを想像して、
「出るかもしれない!」
と想像する。
自分のあらゆる経験から想像して「お化けが出る条件」が勝手に整う。
でも真昼間にそんな事は少しも考えない。
それなのに夜になると「お化け」の存在を意識する。
単純に暗闇の中にいるだけでこれまで見たり聞いたりした全てを想像してしまうんだと思っている。
実際に目の前にお化けが出たらそりゃ驚く。
でも目の前に出てきてもいないのにそれを想像してビクビクしているのはちょっと違うような気がする。
むしろ想像力が豊過ぎて尊敬。
お化けは想像力が豊かな人の方が怖く感じると思う。
お化けが怖い理由。
なぜか夜。深夜。
テレビやラジオや怪談話に出て来るお化けはいつも深夜。
いつも夜。
子供の頃、それを見たり聞いたりしてすごく怖くなった。
顔が血だらけだったり、
髪がやたら長かったり、
手首に力が無い感じ。
あれだけだらっとした手首だと力はなさそうだけど、腕を握られると強いらしく、なんか白い。
その存在があまりにも昼間の街並みに歩いている人とかけ離れているから怖いと思ってしまう。
昼間にそんなのが徘徊してたら速攻で110番。
でも「昼間にお化けが…」ってのは滅多にない。
怪談話と言えばなぜか夜。
お化けは夜しか出てこないイメージ。
そのイメージのおかげで昼間は全然平気な人もいる。
我が子も昼間にお化けの存在は気にしていない。
でも部屋を真っ暗にするとそれを意識する。
私は会ったことがないから何とも言えないけど、
お化けは夜にしか出てこないものなんだろうか。
もしお化けが見える人がいるのなら昼間からそこら中にゲゲゲの世界が広がっているんじゃないだろうか。
なぜか夜。
会った事はないけどお化けは夜に出るらしい。
そもそも暗闇なんだからそこにお化けが乗っかってきたら怖いに決まってる。
急にそこにいる。
私が知っているお化けっていうのは急に目の前に出る。
金縛りにあったら上に覆いかぶさっていたりする。
金縛りにあったことはあるけど、正直その経験はない。
今のところ健康に毎日を過ごせている。
信じていないわけじゃない。
でも音も出さずに、急に目の前にいるとか、
急に視界の中に飛び込んで来るとか。
そういうのはこっちをびっくりさせたいとしか思えない。
なんとなく生活の中に混じっているのならわかる。
でもいつもお化けが出てくるタイミングは「誰かをびっくりさせたい」ような気がしてならない。
もちろんテレビで見たり誰かから聞いたりしたお化けだけど、
狙ったようにそこにいるもんだからびっくりするし、出てこられたら怖い。
ほとんどのお化けが「ギャー!」って言っちゃうようなタイミングで登場する。
そりゃ怖い。
壁をすり抜けたり出来るし、音も立てずににそこにいる…。
そのイメージがすでに怖い。
死のイメージ。
私は基本的に死にたくない。
だからお化けが醸し出すあの死のイメージが怖い。
むしろ幽霊っていうのは死んだ人が化けて出ると想像する。
死んだらどうなるかっていうのは誰にもわからないから余計に想像させる。
死の世界なんていう考え方は深過ぎて話す気にもなれないけど、
そういったところからなにかしらの理由で出て来ると聞いたことがある。
それが本当かどうかはわからないけど、
死の世界のイメージなんて湧かないから結局怖い方向に考えちゃう。
Q太郎みたいな見た目じゃない。
ゆるキャラ的な見た目じゃない。
そういうイメージを子供の頃から作られてきた。
もう沁み込んでる。
お化けは怖い。
怖いのはお化け。
怖くないお化けはお化けじゃない。
お化けは怖くなきゃいけない。
当然のように見えてしまう人がいるのなら、
それはシックスセンスの主人公のように、
話も出来るのかもしれない。
でもそれが出来ない超一般的な私にとってお化けは怖い存在になる。
たぶんこれから先も怖い。
子供たちにも「お化けが出るぞー。」と言えばそれなりの威力がある。
寝る前とか。
部屋を暗くしただけで、
「怖いー!」
とか言いながら飛び込むようにベッドインしてくれる。
お化けが怖い理由っていうのは子供の頃から作られた「あの」イメージなんだと思っている。
もちろん大人になってからもそれなりに怖いし想像してしまう。
でもそれがあるから真っ暗闇の中を一人で歩くようなことはしない。
肝試しとか言う若き頃のイタズラ心とイケイケ感で「遊び」としてそんなことはするけど、
結局「お化けは怖い」から肝試しが成り立つ。
そういう存在でいてくれるからこそ、
うまく自分の身を守れているのかもしれない。
夜、一人で出歩くのは怖い事。
それをお化けが教えてくれているのかもしれない。
本当に怖いのはリアルな人間だったりするけど、
それは子供にはわかるまい。
だからこそお化けや幽霊を例に挙げて、
夜一人で家を抜け出すような事をすると怖い事が起きるイメージを持ってもらう。
お化けが怖い理由は子供の頃からのイメージがそうさせるだけかもしれないけど、
そのおかげで「守られているもの」は結構あるんじゃないだろうか。
どうか感想をください。