やっと決まった就職先。
そりゃ気合も入る。
鼻息フンフン丸。
「休みが少ないよ」とは言われていたけど、そんな事はお構いなし。
仕事が出来る事に喜びすら感じてた。
「休みが無くても頑張れる」とか「最初は休みが無くても平気だ」と思っていた。
その日から1年間。
マジで休みなく働いた。
丸一日の休みなど一度も取れなかった。
取れて半日。
少し多めに寝て終了だ。
1年後には休みが取れるようにはなったけど、週に1日がやっと。
鼻息を荒くして入社したあの日の気合いで、なんとか乗り越えたけど、正直、入社して半年後には休みが欲しくてしょうがなかった。
そんな休みが欲しくてしょうがなかった2年間で私が得たものを紹介したい。
自分への謎の洗脳。
休みがなさ過ぎ。
それでも頑張りたい私は、自分の心に「いずれ休める」や「今だけだ」と声を掛け、洗脳した。
辞めていく同僚に「キツイもんなぁ。しょうがないよなぁ。」と言いながらも内心「逃げやがった」と思ってた。
自分で自分を洗脳してたから、自分以外の考え方は認めないわけです。
「お前は負け犬。私は負けない。」
この考え方がブラック企業に勤める人で1番ヤバい奴のパターンです。
倒れるまで仕事しちゃう奴ね。
てか心が狭過ぎて性格も最悪だ。
表には出さないけど。
私はそれでした。
なんとか倒れずにやってはいたけど、仕事中にずっと視界が揺れていた。
たまに「あれ?地震?」とか言ってる人もいた。
常に寝不足だからフラフラなんだろう。
こんなブラック企業は普通に考えて休むべきだし、辞めるべきだと思う。
でもねー。
私は自分で自分を洗脳してたんですよー。
「自分なら出来る!」と。
「自分はカッコいい!」と。
もちろんそのおかげで頑張れたんだけど、「そこまで頑張る意味」はよくわかってなかった。
寝るギリギリまで仕事して、起きたらすぐ仕事して、休みどころかプライベートも無いに等しくて、やっともらえた半休は寝るだけ。
ある意味充実してたのかもしれない。
他にやりたい事があっても出来なかったんだから。
ただ、これって夢を叶える為に毎日必死になってる奴らにとっちゃデフォルトだと思うんです。
「絶対に勝ち取る!」
その為には目標以外の事をどれだけデリート出来るかでしょ?
だとしたら、あの時の私は、夢を叶える道に立っていたのかもしれない。
寝る以外は仕事。
一度も「楽しい」とは思わなかったけどな!
自分がやりたい事にそれだけの時間を注げれば夢だって叶えられたのかもしれない。
叶えた事はない。
これ以上は頑張れない自負。
1日は24時間。
これは絶対に変わらない。
で、休みも返上。
ってなると睡眠を1日6時間に設定すりゃ仕事に「18時間」は費やせる。
休みがなけりゃ一年はそれを365日ぶっ続けでやれる。
これが、多分、私の限界だと思っている。
仮に、この時間を時給1000円のアルバイトで計算すると、年間で稼げる金額は657万円になる。
時給1000円のアルバイトでね。
仕事はアルバイトじゃなかったけど、結局そのくらいの時間を仕事に費やしてた。
最初の1年間は1日も休まなかったからね…。
自己洗脳ありきで。
だからね、私は持っていたのです。
「これ以上頑張れない自負」を。
アルバイトでも年間で657万までは目指せる。
法律的にはダメなんだろうけど。
労働基準法がね。
だから逆にもっと頑張りたくても頑張れない人ってのもいるかもしれない。
ちなみに時給を1500円にすると、年間で985万だ。
すげーだろ。
これ以上頑張れないレベルでここまでいけるらしい。
理論上ね。
肉体労働だと無理かも。
体力的に。
私はIT企業だからいけた。
視界はいつもグルグル回ってたけど。
圧倒的に休みは欲しかったけど。
やりたい仕事ではなかったからね。
一言で表すなら、苦痛。
二度と繰り返したくない日々。
ただ、それを「やった事がある」ってのがちょっと自慢。
使うとこ無いけどな!
間違いなくお金は貯まる。
で、貯金なんですが、これは問題なく実行された。
飯代と家賃諸々と携帯代以外は使わない日々なので。
もし「貯金したくても出来ない!」って奴がいるなら休日返上で働くと良い。
1日の24時間を仕事と飯と睡眠の時間だけに割り振るといい。
その分稼げて使う暇も無いんだからお金は自然に貯まる。
たまに高級な飯を食っても十分貯まる。
食える量には限界があるから。
結局私は休みが欲しくてしょうがなかった2年間で結婚や引っ越しを含むありとあらゆる資金を貯めた。
いざ使う時に満足のいく選択が出来た。
お金があるのはありがたい事です。
ただ「使わない」って選択じゃなくて、これまで趣味嗜好に当てがってた時間を仕事に変えりゃ良いだけ。
貯金、超簡単。
でもみんなやらない。
やりたくない。
私は、やりたくない。
強制的にそうなっただけだ。
「貯金の仕方」の一つの選択肢。
地獄のような日々でも貯金は出来てた。
勝手にそうなった。
だから通帳を見た時に笑った。
当時「世の中の本で1番面白いかも。」
って思ったのを覚えている。
その会社に6年くらい勤めて辞めたので、今では寂しい本になりました。
貯金している最中の通帳ほど面白い本は無い。
他の会社はほぼ天国。
ことごとく転職していった同僚。
久しぶりに会って話を聞いてみればそこが天国なのはすぐにわかった。
でも「給料が…」とか「やり甲斐が…」とか、口からは愚痴みたいなのが飛び出てくる。
頻繁にね。
時間はあるけど「充実させる」ってのはまた別の課題なようで、天国にいても満足しない天使どもはいるらしい。
人は楽になると「もっと楽をしたい」と考える生き物です。
時間が余ればする事が無くなり、時間がなければ「やりたい事が出来ない!」と嘆く。
なんか、ビジネス本でよく言われてる事だけど、マジでそうらしい。
だったら地獄だと思ってた日々の時間を「自分のやりたい事に捧げられたら最強やん!」と思うのは私だけだろうか。
いや、「誰もがそう」ってわけじゃなくて、ホワイト企業が天国だと考えてる私はまだ自己洗脳中なのかもしれない。
人間関係のもつれとか、ありがちだろうし。
「仕事をする時間だけ」で企業の良し悪しは決められないな。
忙し過ぎたらそれすら気にならないかもしれないけどね。
って思えるのもハイパーブラック企業で過ごした日々のおかげなのかもしれない。
って考えると「ダメなところばかりじゃなかったな」って事で、自分が少し救われます。
自分の事が可愛くて仕方ねー意見ですが、週に1日休みがあるだけで天国のような気がするのです。
オススメなんて絶対しないがな。
長期休暇で旅行なんかに行ったらお金が無くなる。
お金が無くなると心も狭くなる。
趣味にお金を使う為に働けば、ずっとお金を追いかける日々になる。
どっちが辛いかわからんが、どっちも辛いような気がする。
お金も時間も無いなら最悪。
天国なんてありゃしねー!
礎になった2年。
結果、「あの2年をもう一度経験したいか?」と聞かれれば答えは大きめの声で「ノー!」だ。
でもね、自分のやりたい事や好きな事ならやっても良いかなと思っている。
仕事に生き甲斐を感じてる人って少ないんよ。
私の周りにはほぼいない。
何の為に仕事してんのかと言えば「生活の為」で、生き甲斐とやり甲斐を持ってるわけじゃない。
それが体に染み付いて「比較的楽な仕事をしているけど辛そう」に見えたりする。
もし私なら、生き甲斐とやり甲斐を感じられるなら喜んでアルバイトを選ぶ。
安定や保証が無いとは言うが、働きゃ金になる安定と、貯金額から生まれるある程度の保証は得られるだろう。
あの2年のおかげで見事に私は狂いました。
「普通」では得られないものがある事を知りました。
それを知っててどうだって訳じゃないけど、知らないより知ってた方がいつかそれを使う時も来るかもしれない。
あの頃覚えた台形の計算式は絶対に使わないって思ってるけど、いつか使うかも。
そんな「無駄になるかもしれない知識の一つ」として地獄の2年間で得た経験を残しておこう。
いつか「人生に無駄なんて一つもなかった!」って誰かに胸を張って言いたい。
誰がどう見ても「成功してる」ってのが条件だけどな。
どうか感想をください。