「男らしさ」の答え合わせ

恋愛

躊躇なき選択をする。

バシっと「こうだ!」と決める。

自分がそう決めたこと以外には目もくれず。

一点のみ。

貫き通す。

亭主関白的な見え方をする。

頑固者のような見え方をする。

 

男らしいと感じる人もいる。

 

せっかく男に生まれたのだから、

「男らしい」と言われたい。

そう考えて、取りあえず辿り着いた答え。

 

躊躇なき選択。

 

自分でそう決めてからは、「これだ!」「これ!」とバシバシ選択してきた。

誰がなんと言おうと自分は「これ!」と言う。

譲らない。

あんまり譲らないから、友人は協調性が無いと言い出した。

協調性が無いっていうのは「男らしい」からだと思っていた。

 

だから益々躊躇しなくなった。

 

そしたら何も言われなくなった。

何も言われなくなって、関心が無くなる。

友人が離れていく。

 

ふと、「これで本当にいいのか?」と考える。

 

そろそろもう一度やらなくちゃいけない。

 

「男らしさ」の答え合わせ。

 

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男らしさってなんだ。

一匹狼。

男として群れを成さない選択をする。

孤独を好むというよりも結果的にそうなった。

 

我が道をゆくタイプ。

 

誰かと競うわけでもなく、慣れ合うわけでもなく。

自分にとって「価値」があると感じたものだけを選んでいく。

少数派のものだけを選んでいくと、勝手に孤独になっていくらしい。

 

少ない方を選んで、さらに少ない方を選んでいくと自分だけの超少数派になる。

 

もし、万が一、それで大成功でも収めれば、晴れて「一匹狼」の称号を手に出来るかもしれない。

でもその選択のほとんどが「変わった奴」で止まる。

偉業をなす力を持っているわけでもない私は、

今、

 

単なる変わった奴。

 

周囲はきっとそう思っている。

だが更にその先に行く、

 

「私は周囲に何を思われても我が道をゆく!」

 

そう決め込む。

すると「変わった奴」に拍車がかかる。

なぜなら、

 

ほとんどの人が「周囲の反応」を気にするものだから。

 

出来れば「認められたい」と思う人の方が多い。

だから、それすら突っぱねると孤立する。

それをどこかで「男らしく」「強い」と考えた。

 

「孤独にも勝る男」

 

自分の中では「男らしい」ってことだと思っていた。

今でもちょっと思っている。

でも全てが評価されるのは「偉業をなす程の成功を収めた」時。

 

これから先も虎視眈々とその牙を磨き続けたら輝きを放つ時がやってくるのだろうか。

 

今になってすごく不安になる。

躊躇なき選択が出来なくなる。

 

そんな時、最愛の人が現れた。

 

恋をした。

 

不器用な人。

孤独を好むスタイルを貫こうとしているくせに恋をした。

もうその時点で自分が持つ「男らしさの美学」は総崩れ。

そんな事にも気が付かず、ただ、恋をした。

恋をすると相手の反応を見て、「喜んでくれているか?」を良く確認するようになる。

仕草や表情。

言葉。

トーン。

気になって仕方がない。

 

そこには躊躇なき選択などひとつも存在しない。

 

相手がいかに喜んでいるか。

もしイマイチな反応が返って来ようものなら反省をする。

孤独な反省。

これまでこんな恋に落ちた事などない。

誰かにそれを相談したことすらない。

むしろ孤立していたせいで相談をする相手すらいない。

 

だけど、誰かに相談しなければ恋愛として成功の糸口も掴めない。

 

満を持して、友人に自分から声をかける。

 

内容は、

恋バナ。

 

男らしいとは思わない。

でも、「それをしなければならない」と自分が心の内で言っている。

どんなに恥ずかしくても、恋の情報を得て、恋愛を成り立たせたい。

 

恋をすると、頭を下げてお願い出来るようになる。

 

右も左もわからない恋の仕方を誰かに教わる。

あれこれ言われても全く理解が出来ない。

でも相手の事が好きで仕方がないから実行する。

助言を「言われた通り」にやってみる。

 

そしたら見事に失敗した。

 

ずっとパニック。

後から聞いた話だけど、

あの時、思い切って、頭を下げてまで、

恋バナを持ち掛けた友人は、

 

適当なアドバイスをしたようだ。

 

何も知らない私はなんの躊躇もなく、

それが正しい恋の導き方だと思った。

だから寸分の狂いもなく実行した。

 

そしたら想いを寄せる相手との距離が遠くなった。

 

決め台詞の最後に「ぜ」を付けると説得力が上がると言われた。

「好きだぜ。」

「愛してるぜ。」

「こっちに行こうぜ。」

「パスタにしようぜ。」

 

さすがに今ならわかる。

 

「ぜ」はひとつも必要ない。

孤立を選んだ反動はこんなところで現れた。

 

変わった奴には変わったアドバイスをしておけばいい。

 

とでも思われたのだろうか。

結局私は「正しい」恋の仕方がわからないまま。

離れた距離を手繰り寄せる術を知らない。

でも、

好きな気持ちが少しも変わらない。

 

それでも傍にいて欲しい相手だった。

だから「ぜ」はもう使わないと説明した。

 

一生懸命説明した。

少しも伝わらなかった。

 

そもそもなぜ「ぜ」を使うかも説明していなかったから。

 

男らしさとは全く関係ないかもしれない。

これは単純に私自身の問題。

 

好きな人の前だとうまく話せない。

耳が赤くなる。

目が見れない程に恥ずかしい。

 

その人の前で、自分は圧倒的に弱者である。

 

恋という大きな相手を目の前にして手も足も出ない。

それでも諦められなかった。

 

まだ何も伝えられていないのに諦めるなんて。

せめて、

思いっきりフラれてから諦めたい。

 

…。

だけど本当はフラれたくない。

 

そんな思いをグルグルさせながら「告白」出来ない日々が過ぎて行く。

どうすればいいのかわからない。

 

躊躇しかない選択を重ねていく。

 

「これでいいのかな?」

「これは違うかな?」

 

迷いしかない。

 

あんまり決められずに焦っている姿を見て、相手が笑う時があった。

本当はすごく恥ずかしかった。

笑われたくなかった。

失敗に失敗を重ねる悔しさ。

 

もう、会っている時はずっとパニック。

 

可愛いだと?

なかなか告白まで辿り着かない。

フラれてしまいそうで。

 

フラれたらこの恋が終わってしまうような気がする。

 

終わらせたくない。

だから今だになにをするにも躊躇している。

待ち合わせ場所も、時間も、食事のメニューを選ぶ時も、質問する内容も。

 

何をするにもドキドキする。

 

デートの最中は自分らしくいられる時間なんてほとんどない。

強いて言うならトイレくらい。

家に帰るまで気が抜けない。

嫌われてしまえばさらに告白から遠く離れてしまうような気がしてならない。

 

自分の全ての行動が完全に相手の反応に委ねられている。

 

情けない。

いや、

情けないとも思わない。

もうそういうものだと思っている。

あまりにも緊張し過ぎてたまに「敬語」で話してしまうことがあった。

 

そしたらまた笑われた。

 

なんなら「可愛い」とまで言われた。

さすがに傷ついた。

 

「男らしく」していたい自分にとっては真逆の印象を与えてしまっている。

 

こんな状態では益々気持ちが離れていってしまう。

その気持ちを何とか繋ぎ止めたい。

その一心でデートは全力投球をする。

でも、

 

いつも不完全燃焼に終わる。

 

それは相手の様子を見て、観察して、選択をしていくから。

自分の良いところを全く見せられていない。

それなのに、

 

いつもめっちゃ疲れる。

 

不完全燃焼なのに疲れる。

凄く疲れるのに眠れない。

ドキドキして眠れなくなる。

 

「次は絶対に失敗しない!」

 

男らしいところを見せる。

そう誓って挑むデートでは、

 

なぜかいつも「可愛い」という反応が返ってくる。

 

ゆるキャラのような存在になっているのだろうか。

だとしたら最悪だ。

 

男らしさを見せるには。

自分に出来る事は限られている。

ランチと言えば、自分の中の最大のオシャレ飯、パスタ。

ご飯よりパンの方がオシャレ。

服装と言えば、ジャージ以外。

お金は何とかやりくりしてデートに充てる。

相手の話を理解する為に好きな雑誌や好きな音楽、好きなドラマに映画にテレビ番組を調べる。

 

恋愛の教本に書かれていることを実行したが、どれもハマらない。

むしろ失敗を繰り返す。

 

その度に「可愛い」という反応が返ってくる。

 

それでも相手の事が好きで仕方がない。

諦めることが出来ない。

だからいつかこの気持ちを全て伝えることが出来るなら。

自分の中で「全て伝えられた」と思ったのなら。

 

その時は、

 

思う存分に私が持つ「男らしさ」を見せつけてやろうと思っている。

 

その時に、もし、

あの人が「可愛い」なんて言ったら。

 

その時は怒ってやろうと思っている。

 

「可愛くない!」

 

「かっこいい!」って言ってほしい。

 

もし、「かっこいい!」って言ってくれたら。

その時は告白してもいいのだろうか。

 

「男らしさ」の答え合わせはまだまだ先になりそうだ。