売れてる音楽が一番凄いと言われた。
「そうなん?」って思った。
売れる前も売れてからもその音楽は完成してて、ずっと変わらない作品のはず。
人っていうのは売れているものが正解だと感じる。
多くの人が共感を得ているものに興味を示す。
本当にそれが「良い」と感じるのなら誰かに言いたくなる。
紹介したくなる。
多くの人が紹介したくなる音楽は独立してどんどん有名になっていく。
その結果。
売れる。
その音楽はすでに作られていたものなのに、後から売れる。
売れたらみんながみんな凄いと言う。
売れている音楽が一番凄いと言われればそうなのかもしれない。
そんな気がしてきた。
ただ、ちょっと気になる。
それ以外の方法でなにかしらの力が加わって売れた場合。
音楽っていうのは芸術なのか、ビジネスなのか。
たぶんどっちも兼ね備えているんだと思う。
ただ、本当に良い音楽は独立して勝手に歩き出して、多くの人を感動させて、有名になっていく。
有名になって、そこにビジネスが乗っかって、さらに拍車をかける。
爆発的に売れる。
音楽を作った人や演奏する人が魅力的であればさらに飛躍して売れる。
売上爆発。
音楽なんてそもそもこの世になかったもの。
なんなら形もない。
演奏する際の楽器や録音の機材を考えれば物質としてそこにある。
でも作り上げた音楽がスピーカーから流れてくる時。
何の物質でもない。
空気を伝ってくる振動。
それを売る。
良く考えてみると、
原材料すらない。
CDが売れない時代になったと人は言う。
でもダウンロード数はどんどん跳ね上がる。
音楽をダウンロードするのに購入する。
これはさすがにすごいことだと思う。
何もないところに商品を作り出して、販売している。
こんな事あり得るのか。
音楽を作れる人。
すごく羨ましい。
簡単に作れるわけじゃないのは百も承知。
産みの苦しみというのを実感しているのだと思う。
だから音楽を作り出せない私が偉そうなことを言えるような立場ではない。
だけど、
やっぱりすごく羨ましい。
ダウンロードは在庫なし。
それでも購入したいと思わせるその芸術性と人々に必要とされる需要。
供給はダウンロードだから無限。
無限商品の音楽が売れるっていうのはそれだけの利益がある。
利益が有り余っている。
だからこそビジネスであって、少し闇のニオイがする世界なんだと思う。
友人が私に言った。
「売れてる音楽が一番凄い」と。
私は思う。
才能と技術で生み出す音楽。
無限の商品。
人に感動を与える。
支えになる。
ノーライフノーミュージック。
「音楽は奇跡みたいなもんだ。」と。
売れる音楽。買われる音楽。
良いものは良い。
バックグランドでお金を持った大人達がどんなに絡んでいても、「ビジネスだから」と言ってしまおう。
良い音楽だからこそバックグランドが盛り上がるかもしれない。
良い!
売れる!
売りたい!
と思える音楽でなければ先にどんなにお金を使っても売れずに終わる。
ただ、そもそも何も無いところに商品として作り出す音楽はちょっと特殊。
一曲だけで十分な利益を出せる。
たった一曲だけで。
素材は「作曲する人達が絞り出したセンス」だから。
何かを仕入れて、工場で加工して、卸業者に持っていくわけではない。
作ったその場でダウンロードという無限商品になる。
だから、たとえ一曲だけのヒットだとしても、その破壊力は半端じゃない。
しかもずっと残る。
無くならない。
売れ続ける、買われ続ける、求められ続ける音楽がある。
でも売れるかわからない曲にあらかじめお金をかけて宣伝するだろうか。
ビジネスをメインに考えると直感だけでは動けない。
まだ何のデータも取れていない新人アーティストの一曲にお金をかけて大きく宣伝するだろうか。
私ならやらない。
お金は大切だから。
お金の使いどころがわからなくなってしまった大金持ちであれば話は別。
そのお金持ちの心を動かせるくらいの会心の一曲なら話は別。
音楽をビジネスとして考えている人達が、「絶対に売れる!」と直感だけじゃなく、本気で思っているものしか大きく売り出されない。
すでに人気のある作曲家やアーティストやパフォーマーであれば話は別。
それはファンクラブの人数やこれまでのダウンロード数やCDの売り上げから「おおよそどのくらいの利益」が出せるかを割り出せるから。
ビジネスとしても成り立ちやすい。
先の利益を想定して先行投資出来る。
あらかじめ大きく宣伝する意味がある。
そうなると新人はなかなか出てこない。
これまでのデータが何も無ければ出資などしない。
売れなきゃ無駄金。
だけど、良いものは良い。
今は大物と言われるアーティストも「良いもの」を持ち合わせているからこそ多くの人に支持され続けているわけで。
売れている音楽以外にも「良いもの」は無数にある。
その中からさらにビジネス臭を漂わす何かがあれば大きな力が加わる。
売れている音楽が一番凄いと言われれば「確かにそうかもしれない」と思うが、
良いものは良い!
と私は言い続けたい。
その音楽に背中を押されたり、励まされたりしているんだから。
「売れる」「売れない」だけでは判断出来ない気がしてならない。
聞く人のタイミング、作る音楽、誰の心に衝撃を与えるか。
全てが一致した時。
ビジネスを凌駕する奇跡が起きる。
音楽はその可能性を持っている。
音楽は芸術作品だ。
10年くらい前の話。
友人がやっているバンドに「ライブをやるから見に来てくれ!」と言われて時間もあったので行くことにした。
お客さんはそんなにいなくて、色々なアーティストが順番に出てくるような感じだった。
時間で区切られているのだろう。
ライブハウスに着いたらすでに演奏を始めているアーティストがいた。
音がデカい。
イヤホンなら爆発しているかと思う。
「ライブっていうのはこういうものなんだな」と感じたのを今でも覚えている。
きっかけはなんとなく誘われたから。
でも、たった今、そこで演奏しているアーティストの楽曲になんだかビビっときた。
ライブが終われば一生懸命自分たちで作ったCDを売っていた。
もちろんビビっと来たので買った。
友人バンドのCDは買わなかった。
「才能ってやつなのかな。」
そう思った。
誰かに紹介したいくらい良い楽曲だと思った。
数年後、そのバンドは解散した。
今でもそのCDを聞いている。
励まされる。
良いものは良い。
だから好んで聞いている。
強いて言えば、
「新曲も聞きたかったなぁ。」
そう思う。
どんなに自分が良い曲だと思ってもバンドが解散していればもう新しい曲は聞けない。
それは残念。
ただ、当の本人達も色々な事を考えて、決断をしなくてはいけなかったんだと思う。
残念だけど、どうすることも出来ない。
でも今でも聞いている。
音楽は、残ってる。
今でも支えてくれている。
音楽は芸術作品だ。
誰かに紹介してもそのバンドが復活することはないかもしれない。
ダウンロードも出来ない。
売ってないものをどうやって紹介すればいいのか。
わからない。
ただ、今でもランダムに再生すると流れてくる携帯の中の音楽にその曲が入っている。
私が「ビビッと来た」っていう小さい奇跡だけじゃなにも変わらないのかもしれない。
いくつもの奇跡が積み重なって「売れている曲や買われる曲」になるのかもしれない。
だとしたら音楽は人の力や奇跡でさらに成長する作品。
紛れもなく芸術。
音楽のエネルギー。
出会うべくして出会う音楽がある。
年齢や生活する環境で聴く音楽が変わったりする。
誰もがそうだと思う。
「昔よく聴いてたなぁ。」
とか思う音楽は絶対にある。
多くのジャンルがある中で、結局その時好きな音楽を選んで聞く。
その音楽との出会いはいつも奇跡。
たまたま入った飲食店で流れてたラジオからの一曲。
友達から紹介された衝撃の一曲。
テレビでライブパフォーマンスを見た瞬間のトキメキ。
好きな人が良く聞いていたから。
かっこいい。
かわいい。
不思議。
今考えていることや、これまで経験したこと、流行や気分。
全部がうまいこと重なって、好きな音楽やアーティストと出会う。
そういった流行りを作り出すのが音楽界のビジネスかもしれないけど、
心まで届いた音楽は本物だと思う。
売れている音楽が一番凄いと言われれば納得する。
売れていなくても良い音楽があると言われれば納得する。
音楽との出会いは奇跡だと言われれば納得する。
今日も誰かが、どこかで、命を削って作り出した音楽が、
空気を伝って突然現れて、
誰かを感動させて、
あっという間に広がって、
多くの人の耳に届くようになるかもしれない。
その音楽と私が出会う。
やっぱり奇跡。
その奇跡を起こせる音楽はすっごいエネルギーを持っているんじゃないだろうか。
音楽は芸術であって、自由であって、それなのにビジネスであって、人を感動させるものであって、必要な場面が必ずあって、今日も誰かをどこかで支えてて、
奇跡がたくさん詰まってる。
音楽そのものが一番凄い。
奇跡を起こせる程すごい力を持っている。
どうか感想をください。