「売れないバンドマンルート」を選んだ先がどうなるか教えたい

生活

私には、

「メジャーデビューしてやる!」

と大風呂敷を広げて夢を売り歩いていた時期があった。

それを5年くらい続けていた。

ライブハウスで対バン形式で出演。

CDを作ったり、グッズを作ったりもした。

憧れだったワンマンライブもやった。

ストリートライブもやった、インストアライブもやった。

色々やった。

自分が売れる為の道を歩んでいるつもりでいた。

でも諦めた。

今は仕事をしながらこうやってブログを書いている。

家族もある。

それなりに仕事はしている。

あの頃のバンドマン活動が無駄だったとは思っていない。

むしろ感謝している。

おかげで人前に出るのが苦手じゃなくなった。

あの時間があったからこそ今の自分がいると思っている。

でも、今の自分からあの頃の自分に言いたかった事がたくさんある。

人気数値は全て「何人呼べるか」にかかっている。

どんなに良い曲を作っても、どんなにパフォーマンスを磨いても、バンドマンは人を呼べなければお金がどんどん無くなる。

それは楽器を集めるだけじゃなくて、ライブをするのにもお金がかかるから。

勝手に「地元」と認定したライブハウスであれば定期的に企画ライブを打ち出したりして、ノルマの撤廃もあるが、ほぼ人間関係で作られている世界だからいきなりノルマ無しとか特別な出演は出来ない。

ライブハウスにたくさんの人を呼べるようにならないとそんな話がかかることもない。

だって、ライブハウスもたくさんの人が来ないと儲からないから。

結局、人がたくさん呼べるバンドを応援する。

当然。

だって商売なんだから。

バンドマンだって商売。

CDやグッズを作って、それを売らないと生活出来ない。

それはわかっているけど「人を呼ぶ明確な方法」がわからない。

だからアルバイトをしながらバンド活動を続ける人が多い。

あの頃の自分に言いたい。

どんなに良い曲を作っても、どんなに演奏が上手になっても、「何人のファンがいるか」が一番の問題。

言い換えるなら、「たくさんのファンをいつでも呼べる存在になれるなら」別にメジャーデビューしなくても良い。

だって、演奏する度に多くの人が呼べるんだから。

チケット代だけでも十分な稼ぎになる。

ファンがいるならグッズも売れる。

CDも売れる。

当たり前。

ものすごく単純。

「何人呼べるか」ってだけ。

別にバンドじゃなくても良いんじゃない?

私がバンドマンをやっている時はこだわっていた。

それは「人」の呼び方。

バンドマンだから音楽で、演奏で、パフォーマンスでファンを作らないといけないと思っていた。

でも最近になって思うことがある。

それはバンドマンだからって人を呼ぶ方法が「音楽」だけなわけじゃない。

正直、あの頃はプライド的に、音楽をやっているんだから「当然音楽っしょ!」って思っていた。

本当は違う方法でも人を集めることは出来て、ファンを作ることだって出来たはず。

当時は視野が狭かったけど、「人気商売」って音楽だけじゃない。

他にもたくさんの方法があるんじゃないだろうか。

もし今バンドマンで、ライブに人を呼べなくて困っている人がいるなら考えてみて欲しい。

違うことで人気になってから音楽をやっても構わないんじゃないだろうか。

多少尖った意見を言うと「人気になる手段が全て」だと思っている。

それを見つけられるかどうかが問題であって、手段が音楽に限られているわけではない。

若かりし頃「私には音楽しかないんだ!」って思っていた人の大半は今音楽をやっていなかったりする。

私の周りなんて「元バンドマン」ばっかりだ。

売れる人なんて一握り。

更に「音楽だけ」って絞ればもっと一握り。

逆に方法を絞らずに「人気」って大きなカテゴリーで捉えればチャンスはもっと増える。

ってあの頃の自分に言いたい。

「やりがいを感じるのは音楽だけ」ってのは妄想。

この世には根っからのミュージシャンっていう人もいる。

でもほとんどの人がそうではない。

私なんか絶対に違うと自分で思う。

だって、ゲームは好きだし、ネットサーフィンは好きだし、車もバイクも好き。

テレビも好きだし家族も好きだし恋もしてきた。

つまり、根っからのミュージシャンではない。

「音楽が傍にあればそれでいい」ってタイプではない。

たぶん、ほとんどの人がそうなんだと思う。

だから「やりがいがあるのは音楽だけ」って思っていたバンドマン時代は理想に恋をしていた時期だったと今になって感じている。

夢を抱いて根拠もない自信で強行突破しようとする心意気を否定したいわけじゃない。

ただ、等身大の自分を知った上で強気になる必要があった。

若かったから「なにくそ!」って思って強気になるし、反発する場面だってある。

だけど思い描いている自分の将来像と「今の自分」がかけ離れている事実は否定してはいけない。

それが頑張る原動力になるはず。

当時の私は「バンドマン」であり、少しファンがいるような存在だった。

「とりあえずは大丈夫そうだ」ってどこかで思っていた。

でも思い描いた未来の自分はそうじゃない。

妄想するあまり、まるでそこに辿り着いたかのような態度を取っていたこともある。

そしてテレビを観ながら「音楽しかやりがいを感じない」とか言ってた。

友達の家でゲームをしながら「音楽しかやりがいを感じない」とか言ってた。

今になって思う。

そんな事はない。

妄想。

テレビを観たりゲームをしたりしてたんだから。

実際に恋もしたし、新しいギターよりも高級車が欲しかった。

他にもたくさん好きなものがあって、その中から「一番カッコ良くて目立つ手段」が音楽だっただけ。

少し大人になって、「やりがい」を感じる選択肢は無数にあって、人それぞれが違う未来にワクワクドキドキしていることに気が付いた。

そのワクワクやドキドキやキラキラはテレビや雑誌やラジオから得られる情報だけじゃなくて、もっともっとたくさんの種類がある。

「音楽しかやりがいを感じないね」とか言っていた当時の私に言ってやりたい。

「本当にそうなら部屋のものを全て捨てろ」と。

「音楽だけしか出来ない環境で満足なんだろう?」と。

今の生活が好きです。

バンドマンルートを選んで進んできたつもりの私ですが、今の生活にもちゃんと満足している。

音楽活動とは無縁。

だけど、今でも音楽で癒しをもらったり、元気をもらったりしている。

応援しているバンドもいる。

大好きな曲だってたくさんある。

家族だって大切にしたい。

「音楽を仕事にしたい」って思っていたけど、今の生活が好きです。

音楽活動から離れて、全く違うジャンルの人達とコミュニケーションを取ったり、それによって様々な人から多くの価値観があることを教わりました。

今、多くの人に支えられている。

バンドマンだった頃も同じように思っていたけど、それは変わらない。

なんなら今でもチャンスがあればメジャーデビューしたいと思ったりする。

それは結局「高級車に乗りたい!」って欲求とあまり変わらないような気がしている。

…。

あの日、バンドマンルートを選んだつもりの私は、結局「売れるバンドマンルート」ではなくて、「売れないバンドマンルート」を選んだのだと思っている。

それでも音楽活動をしていない今の生活が好きだし、やりがいだって感じる。

幸せを感じる瞬間だってたくさんある。

「売れないバンドマンルート」がダメなわけじゃない。

仕事もあるし、家族もあるし、食べ物もある。

毎日バタバタと子供の世話に追われるような気がする時もあるけど、成長が楽しみだし、本気で守りたいと思う。

やりたい事だってたくさんある。

欲しい物だってたくさんある。

自分が選んだルートを後悔するくらいなら先に進もう。

その先にはいくつもの分岐ルートがあって、進み方によっては「売れるバンドルート」を遥かに超えるエンディングが無数にある。

私は「売れないバンドルート」を選んでも最高のハッピーエンドを目指している。