怒りが収まらない時は空き缶をポケットに入れるといい

小言

怒ってばかりだとおでこにしわが出来るらしい。

知ったことか。

怒りが収まらない。

ちょうどランチ時。仕事。休憩。

怒りが収まらないからとにかくその場から一旦離れる事にした。

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怒りを鎮めるために缶コーヒーでも飲むか。

別にコーヒーが好きなわけでもない。

でも今は怒りを鎮めるために飲むことにする。

夜なら酒を飲んでいることでしょう。

だがしかし、昼間。

尚且つ仕事中。

缶コーヒー以外に方法を見つける事が出来なかった。

一気飲み。

それで怒りが収まるわけもない。

そんな事が出来ればそのコーヒーは怒りを鎮める効果があると言って売り出されることでしょう。

コーヒーの豆に怒りを収める効果は無いようだ。

あったとしても今の怒りはそれを上回る強さ。

スカウターを持っている人ならきっと気が付くはず。

そのくらいの怒り。

あまり使わないワナワナと湧き上がる怒りとはまさにこれだ。

アホみたいにハマる言葉だ。

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怒りが収まらないまま近くの公園に行くことにした。

頭を掻きむしりながらベンチに腰を掛ける。

今客観的に見たら、リストラされたばかりの人。

そうじゃなくても絶対に何かあったに違いないって思われるだろう。

頭を掻きむしりながら右手に空になった缶コーヒー。

怒りが収まらないから握りしめた。

つぶれなかった。

スチール缶。

やはり缶コーヒーに怒りを収める効果はないようだ。

もし右手の握力だけでひねり潰せたとしても、別に意味はない。

そのくらいの怒りだ。

分厚い雑誌を引きちぎるあれと同じ効果。

それを見せつけたところで意味がわからない奴だと思われるだろう。

もし今自分が俳優なら。

最高の演技をしている。

そのくらい怒りが収まらないのだ。

演技じゃなく本当に収まらないんだ。

だからベンチの下の砂を足の裏で少しジャリジャリした。

足の裏でジャリジャリと。

ジャリジャリしてたら地面が削れてハートの形になってた。

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ほんの少し怒りが収まった気がした。

缶コーヒーよりもハートの形の方が怒りを収める効果があるようだ。

もちろん今でも全ての怒りが収まったわけではない。

ラーメンに例えるなら食べる前に一度だけ「ふー」とした程度。

口に入れれば間違いなく火傷をしてしまう。

でもそれを何かにぶつけたりはしない。

正確には出来ない。

そんな事を午後一番の公園でやっていればリストラされたどころかそのあと昼間から酒を一気飲みしたと勘違いされてしまう。

だから缶コーヒーにしたんだ。

そして気が付くと右手に持っていたはずの空の缶コーヒーが無い。

右のポケットに入っていた。

最近公衆の場にはテロの可能性があるとしてごみ箱などを設置していないところが多いのだ。

だから自分で右のポケットに入れたんだった。

たぶん自分で入れた。

でもそれに気が付かないのだ。

それが怒り。

頭に出来たニキビもつぶれている。

痛い。

たぶんさっき頭を掻きむしった時。

そんな時に限って頭にニキビが出来ている。

痛い。

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痛みで少し、怒りが収まった感じがする。

むしろ引っ掻いてしまった事への後悔の気持ち。

少しすると痛みは治まる。

でもまたふとした瞬間触ってしまって痛い。

この痛みはわりと早く引くくせに怒りはなかなか引かない。

ベンチから腰を上げた。

右のポケットには今でもスチールの空き缶が入っている。

ポッケがパンパンになっている。

右だけ。

携帯が鳴った。

マナーモードでブルっと来た。

迷惑メール防止フィルターに引っかかったメールの件数のお知らせだった。

auにしたらブロックしてくれて定期的に教えてくれるようだ。

そのお知らせもメールで教えてくれる。

でもたまにそのブロックをかいくぐって入ってくるメールもある。

いつもブロックされていると安心していたから開いてしまった。

ブロックが完璧ではないというのはわかる。

でもそれをお知らせしてくれてありがたいけどかいくぐられると逆に信用出来るものなのかと思ってしまう。

今の怒りに拍車をかける。

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普段は気にならない事でもなぜか怒りが増す。

怒りが収まるどころか普段は怒りまで到達しない事で熱くなる。

カーっとなる。

レジが遅い店員。

研修中という札を付けているんだから遅い事も想定出来る。

でもなぜだか少しイラっとする。

遅い事をあらかじめ伝えてくれているのにも関わらず。

「おそー!」

と怒りが増す。

いつも食べているタンタンメンが妙に辛い。

いつも食べているから辛い事はわかっている。

でも食べて、辛い事にイラっとする。

「からー!」

と怒りが増す。

怒りが収まらない時、間違いなく自分の心は狭い。

ドン・キホーテの店内よりも遥かに狭い。

人が通れない狭さ。

それが我が怒りがもたらす心の変化。

いつも怒らない事にもふんだんに怒りを盛る。

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それでも治まらない怒りは時に意味がわからない行動を引き起こす。

普段の生活の中で私は間違いなく「優しい人寄り」である。

怒りに身を任せることなど、ほんとんどない。

それを人前で見せる事なんてない。

変な行動と言えば右ポケットの空き缶くらいだ。

何度か自動販売機の横にある空き缶入れる用の業者が回収するボックスを通りかかっているはずだがなぜか先ほど飲み終わった空き缶は右ポケットの中。

右ポケットだけ出っ張ってるものだから周りから見れば何を入れているのか想像が出来ない。

カラーボールを2個入れてるくらいの膨らみ。

そのスーツに不自然な膨らみは怒りを思い出す度に忘れ去られる。

怒りが収まればすぐにでも「捨てよう」と考える。

だが冷静ではない怒り脳は不自然なものをゴミ箱に入れた。

携帯だ。

左のポケットに入っている携帯を空き缶専用の業者が回収するあのボックスに入れたのだ。

もちろんすぐに気が付いた。

「ヤバ」

と口に出した。

すぐに該当のボックスの蓋を開ける。

先ほどスーツで公園のベンチに腰を掛け、足で地面にジャリジャリとハートを描いていた男が、

今空き缶を捨てる用のあのボックスの蓋を開け、まさぐっている。

携帯は底に到達することなく見つける事が出来た。

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怒りが収まるどころか、情けなさに変わる。

携帯を手にし、もう一度左のポケットに入れた。

なんだかすごく情けない。

切ない気持ちも混じる。

怒りが収まらないどころかそれが情けなさへ変化した。

携帯を空き缶を回収するボックスから探している時ではない。

情けなくなったのはそのあと携帯のにおいを嗅いだ時。

その時にすごく情けなくなった。

もちろんその場でにおったわけではない。

少し進んで。

歩きながらポケットに入れる前に少しだけ嗅いだ。

ライフガードみたいなにおいがした。

そこから情けなさに変わった。

少し切なかったのはまだ右のポケットに空き缶が入っていたこと。

におって情けなくて、ポケットを確認して切ない。

ほとんど怒りの感情なんてない。

ポケットの空き缶をコンビニの空き缶捨てに投げ入れた。

ドカカラン!と大きな音を立てた。

あまりに大きな音で少しびっくりしたが、

あのゴミ箱に入れる空き缶の第一号だったようだ。

まだ空だったゴミ箱に放り込んだから想像以上の音が出た。

ビックリした。

むしろ少し申し訳ない気持ちになった。

ちゃんと確認してゆっくり置くように捨てればドカカランは避けられた。

でも気になっていたポケットの中の違和感は無くなった。

そのままコンビニに入った。

おにぎりコーナーを過ぎ、右に曲がり、ドリンクコーナー。

缶コーヒーが売っている。

もちろん手には取らない。

そのまま雑誌のコーナーを通り。

レジの前を過ぎ。

2週目。

欲しいものが無い。

空き缶を捨てさせてもらったという理由だけで何か欲しいものがあれば買おうと思った。

ナイススティックを買った。

そして袋に入れたままそれをバッグの中へ。

さっきのハート型を足でジャリジャリやって作った公園へ向かう。

食欲はないがあのベンチでランチにしよう。

先ほどのベンチにはOLが二人座っている。

足元にはもちろんハート型にジャリジャリしたのが残っている。

素知らぬ顔で違うベンチに座る。

そしてバッグからナイススティックを取り出す。

OL二人はいかにも体に良さそうな、野菜をふんだんに使い、五穀米を選択するのが当たり前みたいな弁当を食べている。

彩りにさえ気を使われている。

体にも目にも優しい弁当。

片やこちらは茶色一色。

なに?この差。

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怒りが呼び込むのは間違いなくネガティブ。

怒りが収まらないところからの一時間足らず。

怒りが収まらないまま行動を続けることでネガティブを呼び込んだのだと。

全ての歯車が見た事もないような回転をし、ガタガタのまま訳がわからない変な部分を動かした。

怒りによっていつもとは違う行動を起こす。

ヤケになる。

ヤケになると次にまた違うネガティブを巻き込む。

巻き込まれたネガティブは自分に切ない選択をさせようとする。

別に体にも目にも優しい弁当が食べたいわけじゃない。

ナイススティックはいつでもおいしい。

でもランチがナイススティックになってしまったのは怒りが収まらないからだ。

そもそも怒りが無ければ自分の好きなものを食べに行っていたことだろう。

飲みたくもない缶コーヒーを飲んで、ポケットに空き缶を忍ばせる事もなかった。

素直に怒りが呼び込んだネガティブと言えよう。

空き缶を回収するボックスに腕を突っ込むこともなかっただろう。

携帯からは今でもライフガードのにおいがする。

コンビニでウェットティッシュも買えばよかった。

ベタベタしてきた。

絶対になにか付いた。

気になる。

携帯を触る度に気になる。

だからそのまま右のポケットに入れた。

右はコーヒーのにおいだった。

ネガティブの残り香。

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今はもう怒りの感情はない。

収まったわけではない。

それでも納得は出来てる。

気を取り直さないと別の仕事にも支障をきたすであろうネガティブはナイススティックと共に胃に流し込みたい。

ナイススティックという名前に励まされたのはこれが初めて。

「しゃあない。」

口には出さなかったが、本気で口に出しそうにはなった。

こんなに不器用な怒りの収め方があるだろうか。

ついてない一日だったって後々笑えるだろうか。

全くそんな気持ちにはなれない。

怒りが収まっても残されたあのにおいのおかげで一日中思い出す。

怒りも切なさも。

ひと月に一度は必ずある。

「悲惨な一日」

それが今日であったと願いたい。

連日これが続いたら頭がおかしくなりそうだ。

ナイススティックは一種類しか知らないし。

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もっと上手に怒りを収める方法がある。

その方法を見つけるには何度も何度も収まらない怒りを経験しなければいけないのかもしれない。

その度にいろんな方法を試してみないといけないのかもしれない。

今回わかった事。

怒りが収まらない時に空き缶をポケットに入れてはいけない。

次に収まらない怒りに襲われた時には絶対にそれだけは守りたい。

そうやって一つずつ自分で経験していくしかない。

自分は不器用なもので。

いつも人からもらったアドバイスを守れない。

予習が苦手。

復習しか出来ない。

怒りの予習が出来るなら。

同じ過ちを何度も起こす人はアホだと言われたことがある。

あの時は知らんぷりしてた。

でも今になって思う。

アホかもしれん。

次に収まらない怒りに襲われた時に、我を保てる自信がない。

だからもう一度空き缶をポケットに入れてしまうかもしれない。

何度も何度もポケットに。

その内にポケットに空き缶を入れる事で怒りが収まるようになるかもしれない。

過ちを思い出す為にあえてポケットに入れる。

あえてそれをすることであの時のようなネガティブに包まれてしまう自分を想像させる。

思い起こさせる。

そして我に返る。

「は!」

っとなる。

これはアホな発想なのだろうか。

あの時の空き缶を忘れない。

覚えておきたい。

だから次に収まらない怒りに襲われた時、もう一度好きではない缶コーヒーを飲もうと思う。

そしてその空き缶を右のポケットに入れる。

落ち着くかもしれない。

怒りが収まるのかもしれない。

そうなれば空き缶をポケットに入れる事は間違いではない。

むしろ気付き。

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怒りが収まらない時は空き缶をポケットに入れるといい。

そうやって怒りをいなすのだ。

自分に降りかかりそうなネガティブを全て跳ねのけるのだ。

何度も何度も立ち向かうのだ。

もっこりしたポケットで怒りに立ち向かう。

その姿がダサくてもいい。

空き缶を回収するボックスに腕を突っ込んでいる姿よりもいい。

多少かっこ悪くてもアホでもいい。

今自分に出来る最大の防御。

収まらない怒りから自分を守る盾。

もっこりポケット。

誰にも理解してもらえないかもしれない自分だけのおまじない。