「万引き家族」を観た感想と一つも正解へ導けない想い

小言

まるで親子が揃って計画的に万引きをしているようなシーンから始まるこの映画。

万引きをする仕草や合図から、すぐに「常習的にやっている」と思わせる描写だった。

それが最初の印象。

わざわざストーリーを追ってその感想を書くのはもうすでに多くの人がやっているし、あらすじなんて観ればわかるし、もっと偏った感想を残したい。

私は映画評論家でもないし、そもそも評論家という立ち位置が嫌い。

誰かが命を削って作り出した作品を別の作品と比べたりしてあーだこーだ言うのが好きではない。

むしろどの評論家も結局自分の意見を発信してるだけだし。

だったら!

私がやってもいいじゃないか。

って事で、万引き家族を観て残った様々な感情をまとめておきます。

「私はこう思ったけどなぁ」みたいな感情があればバシバシコメントにください。

よっぽど的外れでゲスな意見じゃなければ公開します。

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子供への虐待は胸糞悪い。

我が家にはちょうど映画に登場する年齢の子供が二人いる。

まだ大人のように自分の気持ちを言葉にするのが得意ではない。

だから子供が発する何気ない一言や何気ない素振りで親である私はその心情を読み取ろうと頑張ったりする。

たまにちょっとした素振りや少しの言葉で全てがわかってしまう事だってある。

映画の中ではそういった瞬間の描写もあって、凄く伝わる場面があった。

最近子供への虐待がしょっちゅうニュースになるが、その状況を想像すると胸糞悪くなる。

私には虐待してしまう親の気持ちはわからない。

「そこまでやる理由」が見つからない。

子供なんて超無力だ。

どんなにクズ親だと言っても、自分の親で、痛みで教えられればそりゃ黙る。

痛いのは大人も子供も嫌に決まってるだろ。

暴力がエスカレートしていく中で、言う事を聞くしかない状態で、他の家族の在り方を知る機会なんて得られない。

今目の前にある家族が全て。

それを考えると虐待ってのはニュースで見ても、映画で見ても、絵本や小説で読んでも、やっぱり胸糞悪い。

映画の中でもそういった描写が描かれている。

しかも、それを表現する監督の力量も数々の賞を取ったレベル。

そのレベルで子供への虐待を暴力的な場面を見せずに表現している。

めちゃくちゃうまく表現している。

だからこそ私は胸糞悪い。

映画としては良い意味で。

伝わってしまうから気持ちも重たくなる。

絶対に味わいたくない想いをジワジワと感じる。

そういったシーンが続くと息苦しい感覚になるのと同時に、どんどん映画の世界にのめり込んでいく。

これは子供の演技力だけじゃなく、魅せ方が上手過ぎて胸糞切なくなるのです。

「貧乏=不幸」と決めてしまうのは浅はか過ぎる。

映画の中では、お金が無くても、幸せな時間を過ごしている人々の姿が描かれているように感じる。

各々が抱えている人格の歪みのような部分はあるが、それぞれが幸せの為に何が出来るかを考えながら生きている。

映画の中で描かれる日常はさすがにフィクションで、犯罪を正当化してしまうような勘違いを生んでしまうけど、自分の今の生活に同じような場面を当てはめてみた時に、「お金があれば幸せ」と思うのは浅はかな気がした。

映画を観る限りでは、お金以外にも大切なものがたくさんあって、本人なりに今を一生懸命生きている姿にしか見えない。

万引きは犯罪。

それは間違いない。

だけど、「それしか知らない人だったらこうしてしまうのかもしれない」と思わせるようなセリフや場面がたくさんあった。

不妊症に悩む人、家族に縁を切られた人、万引きしか知らない人、過去に虐待を受けていた子供。

育った環境やこれまでの境遇の中で「生きる為にお金が必要」という強制的なルールに縛られながらも自分なりの幸せを精一杯追い求めていく姿があった。

お金が必要なんてのは社会のルールで、百も承知なんだけど、その社会からはじき出された感覚を持っている人達だって世の中にはいる。

そういった人達の幸せは「正しいと言われている」社会の中では見つけにくいのかもしれない。

自分が幸せになりたいだけなのに、どうしてもお金が必要になる中で、「お金よりも価値がある何か」を持っている人もいる。

そういった人達は「お金持ち=幸せ」でもなく「貧乏=不幸」でもない。

自分の幸せの為に守りたいものを必死で守っているだけ。

でもそれは犯罪で、社会的に見たらいけない事で、周りから疎外されるような事なのが「万引き家族」に出て来る人々。

社会のルールは守らなければならない。

でも「貧乏=不幸」と決めつけてしまうにはあまりにも浅はかだと思わされた。

やっぱりお金で買えない幸せはたくさんあるんじゃないだろうか。

この映画を観て、社会のルールと人道がごっちゃになっている部分もあるんじゃないかと思うようになった。

でも今の法律が全て。

ところが法律だけでは裁けない価値観が世の中にはある。

一つでも法律に反する事をすればこれまでの全てが否定されるような感覚を味わうクライマックス。

何とも言えない感覚を味わった。

どれもこれも合っているようで間違ってる。

映画の中で描かれる日常は、悪くないように感じられるけど、悪い事。

どっぷり悪い事。

万引きは犯罪。

死体遺棄は犯罪。

子供を守る意味で独断で保護しても誘拐。

どんなにその後の一家が幸せに暮らしていたとしても、ダメなものはダメ。

曖昧な線引きの中で圧倒的に黒な部分は多くの人に認知されているけど、その中身までは明かされない事がほとんど。

「はい、犯罪、逮捕ね。」

ダメなものはダメ。

それは変わらない。

人と人が支え合って、助け合って、それぞれの幸せを願い合いながら生きているのは美しいと感じさせるのに、そこに万引きが加わっただけで一瞬で悪になる。

映画の中では徐々に一家の本当の姿が明らかになっていく。

家族としての愛の形は間違っていないと感じるはずなのに、それは悪になる。

どれもこれも合っているように見えて、実は間違っている。

そんな感覚になった。

結局間違っている事をしているんだけど、幸せそうな家族の描写がたくさんあって、ダメなんだけど、「そのまま幸せに暮らせれば良かったのに」って感情もあったり…。

ダメなものはダメなんだけど、部分的に認められる事は…無い…か。

となる。

どれもこれも合っているようで、全部間違っている。

明らかに間違っているんだけど、答えがわからない問いを延々と続けられているような感覚になる。

間違ってるんだけど…間違っている中で納得のいく答えを探してしまうような映画でした。

別の答えなんて絶対に無くて、悪い事をすれば法律によって裁かれるのは当然なんだけど、それでも答えを探してしまいたくなる衝動にかられる。

「いや、ダメなんだよ…わかってるんだけど…本当にそれでいいの?それで合ってるの?」

観終わった瞬間の感情はこれだった。

演技力なしじゃ伝わらない。

ある場面で、「子供になんて呼ばれてた?お母さんって呼ばれてた?」や「子供を産まなきゃ母親にはなれない」といったセリフがあった。

そのセリフに反応をする安藤サクラの演技がとてつもないインパクトを私に与えた。

母親になれない身体的な理由があって、お金も無くて、育児放棄された子供を保護して愛情を持って接していたのに、本当の母親ではない事実も受け入れているのに、母親になりたかった気持ちを抑えながらも、「なんでしょうね…」と言いながら涙する。

大したセリフを使わずにそれを表現する演技力に驚きを隠せなかった。

やっていた事は誘拐で、悪い事だとわかっているのに、それでも正しい事をしているんじゃないかって思いたくなるような場面で、なんとも胸が苦しくなるシーンだった。

あれは圧倒的な演技力なしじゃ説明出来ないような場面で、見た人にしかわからない瞬間。

もし、あの場面だけを映画の宣材として流していたら、誰もがチンプンカンプンで、映画の中身が全く伝わらなかったんだろうと思う。

でも、私の中では最も重要な場面だった。

そしてその全ては各演者の演技力にかかっている。

様々な感情が入り混じる「私達の普段の生活では絶対にありえない心情」を表現する演技力は全員が圧巻。

演技力なしでは成り立たない映画である事は間違いない。

派手な演出や派手なシーンが無い映画の中でこそ輝く演技があるのかもしれないが、リリーフランキーなんてもう、「愛情はあるが万引きしか出来ないクソバカ親父」にしか見えない。

そのくらい役が憑依していた。

横顔なんてもう「それ」にしか見えない。

だからこそ伝わるものがある。

むしろ演技力なしじゃ何も伝わらないような映画。

あの演技がなかったら、話題にもならなかったような映画かもしれない。

演技力。

これ、超重要。

元に戻ったのか崩れ去ったのか。

映画が後半に進むにつれて、現実社会で考えれば、「万引き家族」は崩壊し、あるべき姿に戻っていく様を描き出す。

現実社会から見れば「めでたしめでたし」といったオチになるんだろうけど、この映画は全く違う。

最後まで不正解をまるで「正解だ」と言わんばかりに見せられているような感覚になる。

犯罪を犯した先にある想像通りの生活と、社会的に良しとされている子供の居場所へ離れ離れに進んでいくそれぞれの心情は、どこか「正しいのはわかっているけど認められない」ような感覚でいっぱいな気がする。

なるべくしてなった姿なはずなのに、何かとても重要な価値が崩れ去ったような感じ。

最後まで何かを訴えてくるような映画だった。

この映画を観て、私は人の価値観の幅広さを知った。

子育てに対する考え方を広げた。

家族としての幸せをどこに設定するべきかを考えた。

現代にある様々な問題を取り込みながら違和感しかない生活の中で「それが正しい」と言わんばかりの演技にも驚いた。

ずっと何かを訴えかけてくる展開が続き、最後まで胸が締め付けられるような想いで観た映画でした。

今の私には一つも正解へ導けない想いが残った。

小言
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過小評価され過ぎアーティスト

過小評価され過ぎなアーティスト、「楽屋シンジ」さん。

この方、作ってる音楽は素敵なのに評価が低い。

むしろ誰にも評価されてない。

あまりにも残念なので応援したい。

ポップな音楽だから多くの人にそれなりの評価を貰えそうなのに圧倒的に露出が少ない。

なのでこのブログを通してお勧めしたい。

もったいないなぁとつくづく思う。

「楽屋シンジ」さんのYouTubeチャンネルを貼っておきますのでとにかく一回聴いてチャンネル登録してあげましょう!

みんなで!

あれんじ

どうか感想をください。

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