ドコドコドコドコ。
トコトコトコトコ。
トトトトトトトト。
単気筒エンジンの鼓動を文字にするとほとんどのジャーナリストがこんな感じで表現する。
ブォーン!とかブィーン!とかボボボボってのが四気筒エンジンだと。
単気筒エンジンの作りはシンプル。
でも振動が激しい。
四気筒は作りが複雑で重くなる。
でも振動も少なくてパワフル。
バイクなんてどれも一長一短。
性能で選ぶ人もいればフォルムやデザインで選ぶ人もいる。
どのバイクに乗ってもきっと「相棒」みたいな感覚になる。
どんなバイクを相棒にしたい?
今回はSR400を一方的に褒めちぎる回です。
40年間ほぼ変わらない。
SRのスタイルとエンジンは40年間ほぼ形が変わっていない。
排ガスの規制で電子制御が必要になったり、ブレーキの効きを良くする為にディスクブレーキの導入があったりしたけど、ちゃんと、ずっと、しつこい程にSRなんです。
お笑いに例えるなら「バカ殿」だ。
放送に関わるルールやコンプライアンスは追加されたけど、今でも「バカ殿」のイメージは変わらない。
お笑いが古いとか、流行りじゃないと言われても、貫く。
SRもそれと同じ。
デザインが古いとか動力性能が低いと言われようが、変えない。
ずっとSRでいようとする。
それを40年間貫いている。
規制に合わせる為に何度か販売中止にはなったけど、改良してちゃんと舞い戻る。
未だにセルなんて付けない。
頑なにエンジン始動はキックのみ。
決して時代に逆らっているわけではなく、「バカ殿」で居続けようとする。
そう、もはやバカなんです。
そんな所が好きなんです。
SRのフォルムが好きで所有する人もいるだろうけど、歴史を知って更に好きになる。
それがSR。
内部には様々な進化があるのにそれを外側には全く出さない。
普通ならある程度時代に見合ったアップデートをするだろう。
SRはそれをしない。
ずっとバカ殿のあの化粧と同じ。
白と黒と赤は変わらない。
志村けんという人間は進化しているけど、「バカ殿」はずっと変わらない。
何度か違うバイクに跨ってみたけど、やっぱりもう一度跨って走りたくなる。
そんなバイクなんです。
「懐かしいなぁ」じゃなく、「これだよなぁ」なんです。
40年間も外見がほぼ変わらないバイクなんて早々無い。
いや、私はSRしか知らない。
新型のSRに乗っても「やっぱりこれだよなぁ」ってくらい変わらない乗り心地。
頑固一徹な存在。
別に感動する所なんてほとんどない。
新しさもない。
でも乗りたくなる。
素材の味しかしないSRはスルメみたいな奴。
噛めば噛むほど味がする。
でも、いつも同じ味。
だから安心する。
40年間ずっと同じ味。
どの年式のSRに跨っても、「SRだな」って思えるのが「価値」なんです。
不思議な奴なんですよ。
ビッグシングルの存在価値。
今時400ccで単気筒エンジンなんてSRだけです。
振動もあるし、馬力もしょぼい。
トルクはあるけど特別ドカンと前に進むわけでもない。
以前はどのメーカーからも400ccのシングルエンジンを積んだバイクが販売されていた。
ただ、常に人気があったのはSRだった。
ずっと一定の人気。
気が付けばライバル達は流行りのエンジンや流行りのデザインに力を入れ、販売中止に。
最近では車検の無い排気量が人気で、スクーターやSSデザインが売れ筋。
SRは「速い」ってメリットもなく、キック始動だけなのにも関わらず車検が必要。
なのに作り続けたヤマハ。
いつのまにかビッグシングルはSRだけになった。
ホンダもスズキもカワサキもビッグシングルには手を出さなくなった。
だからこそ目立つんです。
唯一の国内ビッグシングルであるSRが。
アナログ過ぎるエンジンは新品にしてもはやアンティークのような魅力に溢れている。
ビカビカの新品エンジンなのに、なんだか古臭い。
復刻版ではなく、現行車なのに哀愁漂うエンジン。
この魅力はSRにしかあるまい。
カスタムパーツの豊富さ。
SRは40年のロングセラーで姿形がほぼ変わっていない。
細かい変更はあれど、常にシンプルな作りをしている。
だからこそカスタムパーツが豊富なんです。
あまりにシンプル過ぎるので、SR好きはカスタムして自分なりに楽しんだりする。
まるでプラモデルのように自分らしいカスタムを求めたりする。
中にはひっちゃかめっちゃかなカスタムでヘンテコな姿になってるのもある。
個人的な意見として、あまりセンスが無い人がカスタムするとダサいからノーマルの形を大きく崩さない方が良いと思う。
SRの純正パーツは丈夫です。
特にリアフェンダーの作りは元々素晴らしい。
フェダーレスにしたり、違うフェンダーを入れる人もいるけど、こだわりが無ければ純正がいいよ。
車検もあるし。
ユーザー車検とかめんどくさいし平日だけだし…。
好きな人はとことんやっちゃうでしょ。
そういう人の為に豊富なパーツがあるんだろうけど、友達のSRはカスタムした挙句、めっちゃダサかった。
ノーマルの収まりが実はハンパじゃなくカッコいいと再認識した。
個人差はあるけど、友達のSRはジャージにローファーにサングラスみたいなスタイルで「ロックだろ?」って言われた時くらいの衝撃があった。
ある意味めっちゃロックだった。
そんなハードロックなスタイルに出来るのもパーツが豊富だからなんで…。
ある意味良い部分かと思います。
人によっては。
ダサくしようと思えば幾らでも出来るぜ!
人によっては。
ただの趣味に酔いしれたい。
同じ排気量の様々なバイクと速さを競うのであれば、SRはダントツで遅いだろう。
抜きん出て遅い。
性能なんて40年間置き去りにされている。
スーパースポーツを求めている人には動力性能が足りなさ過ぎて退屈なバイクかもしれない。
ただ、SRに乗る人は動力性能を求めない。
有り余るパワーなんていらない。
街中をトコトコ走り、手のひらに収まるサイズのパワーで頑張ってみる喜びを噛みしめる。
一応、日本の道路を普通に走るなら一般道でも高速道路でも困る事はない。
それが400ccのシングルエンジンなんです。
他のバイクと比べれば劣る部分はあるにせよ、そもそもキックしかないし、速くないのは承知の助。
バイクなんてモノ好きが乗るもんだ。
便利さを求めるならスクーターがベスト。
わざわざ積載機能も無いし速くもないバイクを選んでいる。
シンプルに趣味である。
SRという歴史あるバイクに酔いしれたいのです。
乗り手が可愛がりたくなる要素だらけのバイクなのです。
乗ればわかる。
乗らなきゃわからない。
車で言えばわざわざ古いオープンカーに乗るようなもの。
迷う必要はない。
どうせ満足するのは自分だけなんだから。
「なんであんなの乗ってるの?」とか聞いてくる奴に言いたい。
「お前なんかにはわからない」ってな!
ずっと残すべきバイクである。
おそらく、SRの歴史はこれからも続くだろう。
理由はこれまで説明してきた内容通りSRにしかないバイクの魅力があるからです。
開発者も言ってます。
どんなに新たに規制が設けられようとも、「目指すのはSRであり続ける事」だと。
このバイクにしかない魅力は競争から生まれるわけではなく、頑なにSRであり続けようとする部分です。
流行りのデザイン?
驚きの最新機能?
驚愕の動力性能?
いらんいらん。
そんなものはいらんのです。
その全てを放り投げて、SRである事の方が大事。
競争する気無し、流行りに乗る気無し。
我が道を走るだけ。
実にバイクっぽいじゃないか。
そのバイクっぽさに惹かれる人がここにいる。
私です。
だからこそこれからも作り続けてほしいんです。
「昔こんなバイクもあったねー」なんて言わせないでほしい。
ここまでSRであり続ける事をプライドに作り続けてきたじゃないか。
絶対にSRの歴史に幕を閉じるべきじゃない。
形を変えるべきじゃない。
ずーっと私がイメージするSRでいてほしい。
どうか感想をください。
daimaruさん、はじめまして。
私は48歳になり、普通自動二輪免許に挑戦しています。
教習所では、クランクで立ちゴケをし、バイクを起こせば腰を痛めてしまい、それでも若い頃憧れていた「バイク」に乗りたくて頑張っています。
私にとっての「バイク」はSRなんです。
でも、最初から400に乗ることの不安やレブルの大人気ぶりから、すこし気持ちが揺らいでました。
が。
ブログを読んで、伝わってきました。
やはり最初のバイクはSRにしようと思いました。
週末しか行けない教習所なので、毎回苦労していますが、これで頑張れます。
他のブログも読ませていただきます。
ありがとうございます
「乗ってみたい!」って思うバイクがいくつかあって、その中で「どれにしよーかなー」と悩んでみるんですが、結局いつも「SRってやっぱりいいなぁ」に戻ってくる自分がいます。